NO.10389757
みんなで難関大数学を攻略しよう!
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0 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/14 15:18
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今日はじめて、何かのはずみで、このサイトに来てみて
皆さんが勉強に悩み、打ちこんでいる姿に共感しました。
そこで皆さんの手助けになれるよう今日から数学講義をしようと
思います。(やる気の続く限り)
週1~2問のペースで50問くらい続ければいいけどなと
思いますので、宜しくね。
なお、題材はすべて過去問です。やはり、教授達が一年に
一回の為に、苦労して作った傑作が多いため、非常に力がつきます。
でも解答はすべて私のオリジナルで書きます。
僕のボケ防止と、何よりも皆様の数学力向上のため、楽しく解きましょう!
では、
問1:すべての正の実数x、yに対し√x+√y≦k√2x+y
が成り立つような実数kの最小値を求めよ。 (1995東大)
解答その1:
「すべての正の実数x、yに対し、√x+√y≦k√2x+y」
⇔「すべての正の実数x、yに対し√x+√y/√2x+y≦k」?
ここに√2x=rcosθ √y=rsinθ {x>0 y>0のときr>0 0<θ<π/2}
とおけば右辺=√1/2・cosθ+sinθ=√3/2・sin(θ+α)≦√3/2
ここでαはtanα=1/√2なる角。
θ+α=/2のときこの等号は成立するので、√x+√y/√2x+yのx>0 y>0
における最大値は√3/2であり?⇔√3/2≦k (答)√3/2
本解答では「置き換えによりいかに式を簡単にしていくか」に注目して欲しい。
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88 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/31 07:02
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解答: X1 = α とおく。このとき、X2 = A1 X1- X0 = A1α,
X3 = A2 X2- X1 = A1 A2α-α= (A1 A2- 1 )α, ……
となり、一般にXn = Pnα (☆)という形で書けることが予想される。
これはn= 1,2のとき正しく(P1= 1 , P2= A1 とすればよい )、
n= k , k +1のとき正しいとすると、Xk+2 = Ak+1 Xk+1- Xk = Ak+1 Pk+1α- Pkα
= (Ak+1 Pk+1- Pk)α なので、Pk+2 = Ak+1 Pk+1- Pkと置けば、Xk+2 = Pk+2αとなり、
n= k + 2のときも正しいことが分かる。以上より数学的帰納法により、n= 1, 2, 3, …… に対し、
(☆)が成立する。このとき、Xm = Pmα なので、Xm = 1のとき、 α = 1/Pm と1つに定まり、
また、一般項Xn = Pn/Pm として、数列{Xn}は1つに定まる。
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89 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/31 07:11
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次に、このような数列{Pn}〔P1 = 1, P2 = A1 , Pn+2 = An+1 Pn+1- Pn〕について、
0 <Pn <Pn+1 (n= 1, 2,…)(※)を示す。
これはn= 1のとき確かに正しく〔∵0<P1 = 1 <2 ≦A1 = P2 〕
n= kのとき正しい、即ち0 <Pk <Pk+1とすれば、
Pk+2 = Ak+1 Pk+1- Pk ≧ 2Pk+1- Pk>2Pk+1- Pk+1= Pk+1 ( >0) であるから、
これは(※) がn= k + 1のとき正しいことを示すので、数学的帰納法により示された。
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90 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/31 07:13
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よって0 <Pm が成り立つから、α = 1/Pm >0であり、また、Xn = Pnα>0 ( n= 1, 2, …)。
更に、αPn<αPn+1 ⇔ Xn<Xn+1より、数列{Xn}は単調増加数列で、
n= 1, 2, …, m-1 に対し、Xn<Xm = 1 よって0 <Xn<1 ( n= 1, 2, …, m-1) が示された。
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91 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/31 07:17
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発想方法:
変則的な問題である。3項間漸化式が与えられているものの、初期条件となるX0 , X1 が与
えられていない。つまり、 X1 が与えられていない代わりにXmが決められているのである。
よって、X1の条件を出したければ、X1を(αなどど)決めてから、Xmをそれで表現していこ
うと考えることになる。そしてXm = 1より、X1 を決定していくのである。後半については
、{Xn}が増加数列であることを示せばよいと予想でき、この証明は帰納法によれば
if Xk<Xk+1 ⇒Xk+2 = Ak+1 Xk+1- Xk≧ 2Xk+1- Xk>2Xk+1- Xk+1= Xk+1
となり、帰納法でやっていけそう(正しそう)であるが、ここで正確には、Xk+1 >0
(一般にXn >0) をあらかじめ述べておかなくてはいけないし、そもそも帰納法で証明する
ときの開始証明であるX0<X1をどうやって示しておくかが一番の問題点になるし、
逆に0<X1さえ示せたら、{Xn}が増加数列であることを示すことは容易である。
(0<Xk<Xk+1という形で帰納法に乗せればよい)
以上よりはっきりするのは本問の最大の問題点は0<X1をどうやって証明するかであり、
これは、Xm = 1より、X1 を決定していくことで考えていかないと仕方がない。
私が解答の最初に「X1 = α とおく」と書いたのは、ここまで考えた上でαについての
条件を出していこうという(少なくともα>0を示しておかないと、帰納法の開始条件にす
らならない)考えのもとである、ということを強調しておく。
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92 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/31 07:20
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さて、X1 = αとおいてXmを求めていくことを考えていくと、Xm = Pmαと書けるだろうことは
すぐ分かる。これはαの一次式(定数項は0)で表せるということを示し、その係数は数列
{An}の組み合わせにより作られる定数であるということである。
するとα= 1/Pm であるから、α>0を示すためには、あとPm>0を示せばよいことになる。
これは実験から明らかな感じはあるが、正確には帰納法による。これを帰納法で示そうとした
時、Pk+1>Pkが必要で、先にこれの証明が必要になることに気づくだろうし、これは、後半
のXn<Xn+1の証明に直結してくるので、まとめて0 <Pn <Pn+1 (n= 1, 2,…)を帰納法
で証明することになる。これが終わってやっとのことで、α>0が示せるのである。
なお、0 <Xn <Xn+1を直接示すわけには行かないのは、まだα>0が示せてない以上
帰納法の開始条件の成立を確定できないので、示しようがないからである。
0 <Pn <Pn+1についてなら、開始条件の 0<P1 < P2 は明らかであるからこちらを証明
するのである。
以上のことを考えると答案構成はおおむね上記のようになるだろうが、何をどの順序で論じ
ていくのを考えるのが難しい問題である。何を証明すればよいかが提示できさえすれば
その証明は、漸化式もあることだし、帰納法で行くのは当然である。
尚(2)、(3)〔略〕は(1)が出来ればそんなに複雑ではないでしょうし、良問とは
言い難い出題ですが、(1)はいろいろ考えさせる問題だなと思いました。
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93 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/31 07:22
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問16:
0<c < 1とする。0≦x<1において連続な関数f (x)に対して
f 1 (x) = f (x) +∫{0~c} f (t) dt , f 2 (x) = f (x) +∫{0~c} f 1 (t) dt
とおく。以下、関数f 3 (x) , f 4 (x) ,…を順次f n (x) = f (x) +∫{0~c} f n-1 (t) dt (n = 3, 4, …)
により定める。また、g (c) =∫{0~c} f (t) dtとし、n = 1, 2, 3, …に対し、
g n (c) = ∫{0~c} f n (t) dtとおく。このとき、0<x<1をみたす任意のxに対し
x f (x) = g (x) + x lim(n→∞)g n (x)が成り立ち、さらにf (0) = 1となるような関数f (x)を定めよ。
(1994 東大)
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94 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/31 07:24
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解答:
題意より、f n (x) = f (x) + g n-1 (c) と書けるので、
g n (c) = ∫{0~c} f n (t) dt = ∫{0~c} f (t) dt +∫{0~c} g n-1 (c) dt = g (c) + c g n-1 (c)
∴g n (c) - g (c)/1-c = c { g n-1 (c) - g (c)/1-c } (n≧2)
これは数列 { g n (c) - g (c)/1-c } が公比 c の等比数列であることを示し、
g n (c) - g (c)/1-c = c^(n-1)・ { g 1 (c) - g (c)/1-c } (n≧2)
ここに 0<c<1より、n→∞のとき右辺→0 よって左辺→0 即ちg n (c) → g (c)/1-c 。
よって、x f (x) = g (x) + x g (x)/1-x = g (x)/1-x ∴ g (x) = x (1 - x) f (x) (☆)
ここでg (x) =∫{0~x} f (t) dt であるから両辺をxで微分して、g' (x) = f (x)
これを☆に代入して、g (x) = x (1 - x) g' (x) ∴g' (x)/ g (x) = 1/ x (1 - x) = 1/x + 1/(1-x)
この両辺をx で積分して、
log │g (x)│= log │x│ - log │1- x │+ A = log │e^A・ x/(1- x)│ 〔A : 積分定数〕
よってg (x) =B ・x/(1- x) 〔B: 定数〕 と書ける。 従ってf (x) = g' (x) = B・1/(1-x)^2
と書けるが、f (0) = 1 より、B = 1 ∴ f (x) = 1/(1-x)^2 (0≦x<1) (答)
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95 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/31 07:30
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解説:
文字がごちゃごちゃしているので、何が変数で、何が定数かを確認しながら式を見ていき
ましょう。まず、g n (c)とおいてくれている意味はこれはxの式ではありませんし、
あくまで定数(xと関係ない単なる数)ですよ、ということです。つまりf(x)にせよ、
f n (x) (n=1,2,3…)にせよxの関数部分は全く一致しており、その差は定数項の
部分しかありませんよと言うことです。
定数項の場合、これを単にkなり、置いていったんf(x)をkを用いて表してしまい、
再び、kとおいた式に代入しなおして、ここからkを決定していくというのが常套手段
です。しかし、ここではkとおくべきで無く、少なくともknと置きべきです。なぜなら、
このf n (x)の定数部分は、nによって値が変わっていくため、いわば数列を形成する
からです。問題では更にご丁寧にg n (c) とおいてます。単にg n という定数で置く
だけでなく、(c)まで着けているのでこれはあくまでxの式から見れば定数(定数列)
ですが、cが入った式になるので後々これをcの関数と見ることも出来ますよ、という
意味です。もっとも前半部分ではcの関数ということは考える必要はありません。
cはxから独立した文字定数である以上、cが含まれた複雑な式の形を持っていても、
xから見れば(tから見れば)あくまでg n (c)は定数にしかすぎず、
∫{0~c} g n-1 (c) dt = g n-1 (c) ∫{0~c} dt= c g n-1 (c) となります。
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96 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/31 07:31
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定数g n (c) の求め方は、この置き換えの定義のところから、この定数に関する方程式を立式
すればいいのですが、今回の場合は、漸化式になります。あとは、これを解けば定数(定数数列)
である、g n (c) が求まります。
最後の微分方程式は、g'/g の形( = ( log g(x) )' )が表現できるので容易に解けるでしょう。
さて、話を論証問題に戻して、最後に京大らしい論証問題1問に取り組んでもらって式処理の方法
についての解説に戻ります。
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97 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/31 07:38
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>>86
有り難う。励みになります。君の将来に期待しております。また、私としても微力ながら、
なるべく全分野の重要事項を解説できるように頑張ってみますので、数学的に自然な考え方即ち、
「当たり前に考える」そしてさらに「合理的、理論的に考える」、とはどういうことなのかを
ぜひ学んで欲しいなと思っています。
また、計算方法についてもいろいろ伝授していけたらと思います。
他教科の勉強の合間にでも、また見に来てくださいね。
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98 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/31 07:45
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なお、重要事項を解説するときに使う重要問題が、気たちの年代からいうと古い問題になっ
ておりますが、気にしないで構いません(言い訳と感じるかもしれませんが)。私が教えて
いた時の思い入れがある問題も少なくなく、非常に重要問題だと考えているから取り上げて
いるのと、ぜひ古くても気合を入れて取り組んでおいてもらえば、それだけいろいろな教訓
が汲み取れるかと思います。そもそも受験生が学ばなければいけない事項はほとんど変わっ
ていません。
最近の東大・京大過去問を見ての私見ですが、相変わらず、東大理系数学の大雑把な構成は
式処理3問、帰納的定義(数列、関数列、確率など分野はいろいろ)1問、図形がらみ1問、
論証(整数問題含む)1問という構成が一般的になっているようです。文系の場合もよく
似た割合であし、京大(私の母校。随分昔ですが…)もそんなに変わらない気はします。
ここらあたり(これ等の事項で問題を作るということ)が、受験数学の限界なんだろう
と思います。
もっとも、重要な事項として、式処理と図形というリンクもあるので、この表記が重なり
を持つことも述べておきます。
私の目的はともかく、重要事項、重要計算方法が学べる良問を取り上げ、解説していくこ
とに専念したいと思っています。また、一通り重要事項が解説し終わったら、いずれ直近
の問題や、他大学の問題を使って、応用・復習の機会がつくれればいいかなとは思ってい
ます。
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99 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/09/01 07:58
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問17:
n個(n≧3)の実数A1, A2, …, Anがあり、各Aiは他のn - 1個の相加平均より大きくは
ないという。このような、A1, A2, …, Anの組をすべて求めよ。
(1989 京大)
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100 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/09/01 07:59
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解答: A1≦ A2≦ …≦An ? としても一般性を失わない。
題意より、An≦( A1 + A2+ … + An-1)/(n - 1) が成立するので、これを整理して、
(n - 1) An≦A1 + A2+ … + An-1 ⇔ (An - A1) + (An - A2) + … + (An - An-1) ≦ 0
ここに、?のとき、(An - A1)≧0, (An - A2)≧0, …,(An - An-1)≧0であるから、上式が成立
するのはこの等号がすべて成立するとき、即ちA1 = A2 = …= An のときに限る(必要性)。
逆にこのとき、各Aiは他のn - 1個の相加平均に等しく、題意にかなうので十分。
(答)A1 = A2 = …= An= k (但し、kは任意の実数) のとき
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101 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/09/01 08:01
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解説:
各Aiについて対称性があるので(平等性があるので)、必要なら入れ替えをして、?のように
決めて、議論すればよい。入れ替えても題意の条件は満たされたままであるのだから。
解答の最大のポイントはここかもしれない。
各文字について平等性があれば、当然入れ替えても題意は満たされるので、順序付けをして考
えたほうが、例えば不等式評価につながったり、場合分けを減らせたりなど、問題を簡単にで
きることがある。とくに整数問題では重要な手法である事はご存知であろう。他にも
確率、図形問題(求積問題含む)、数式処理などあらゆるところで見かける考え方である。
但しもし対称性が無いのにこんなことを書いてしまえば、以下無効の答案になる恐れがあるの
で、慎重に議論してください。
問題の条件であるすべてのAiが他のn - 1個の相加平均以下というところの考え方は問題ない
でしょう。「すべての~に対して成立する」⇔「最大(最小)のときでさえも成立する」
であるから、Aiが最大のとき即ちAnのときを考えれば左辺は最大で右辺は最小なので、一番
厳しい(最も成立が難しい)式となり、この1つの式で必要かつ十分な条件として捉えられる
ので、あとはこの式だけを更に詳しく見ていき、得られる条件を探ればよいのです。
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102 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/09/01 08:04
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別解:
A1≦ A2≦ …≦An ? としても一般性を失わない。また、S = A1 + A2+ … + Anとおく。
題意より、A1≦(S - A1 )/(n - 1) , A2≦(S - A2 )/(n - 1) , …, An≦(S - An )/(n - 1) ?
この辺々を加えて、S≦1/(n - 1) {nS - S}= S よってこの等号が成立するので、
その為には?のすべての等号が成立することが必要十分。
つまり、各Aiは他のn - 1個の相加平均に一致する。ここでもし、?の不等式において、1ヶ
所でも等号が成立しないということがあれば、最大のAnは他のn - 1個の相加平均より大きく
なるので矛盾が生じる。よって?の不等式すべてにおいて等号が、成立しA1 = A2 = …= An 。
逆にこのとき、各Aiは他のn - 1個の相加平均に等しく、題意にかなうので十分。
(答)A1 = A2 = …= An= k (但し、kは任意の実数) のとき
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103 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/09/01 08:06
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別解の解説:
題意の条件を?のように立式してみたとき、バランスをとって扱う為に、辺々を加えてみる
という発想は自然なことと思う。得られる式は、必要性を持つ式にすぎないが、これだけで
も結構大きな情報が得られる(こともある)。
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104 名前:元塾講師:2005/09/04 12:29
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では、再び式処理の基本事項を見ていきましょう。
問18:
a , b は実数で、 a^2 + b^2 = 16 , a^3 + b^3 = 44 をみたしている。このとき、
(1)a + b の値を求めよ。
(2)nを2以上の整数とするとき、 a^n + b^n は4で割りきれる整数であることを示せ。
(1997東大文系)
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105 名前:元塾講師:2005/09/04 12:31
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解答:
(1)a + b =u , ab = v (☆)とおくと、 a^2 + b^2 = u^2 - 2v , a^3 + b^3 = u^3 - 3uv
であるから、与式は u^2 - 2v = 16 , u^3 - 3uv = 44 …?
またa, b はtの2次方程式 t^2 - ut + v = 0の2解であるから、実数として定まる為の条件
として、(判別式) = u^2 - 4v ≧0 …?
?よりv を消去して、uの方程式にすると、u3 -48u +88 = 0 ⇔ (u-2)(u2 + 2u -44) = 0
∴u = 2 , -1±3√5 …?
また?に?より得られる2v = u^2 - 16 を代入整理して、- u2 + 32 ≧0
∴-4√2≦u ≦4√2 …?
ここでu = -1±3√5は?をみたさないので(∵= 2.23…より、-1+ 3√5>5.69 であり、
√2= 1.41…より、4√2<4×1.42 =5.68 であるから、-1+ 3√5>4√2また、両辺に- 1 掛
けて 1 - 3√5<-4√2より -1- 3√5<1 - 3√5<-4√2)、?かつ?をみたすuはu = 2に限
る。このとき、?よりv = -6 (答) a + b =2
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106 名前:元塾講師:2005/09/04 12:33
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(2)
a^n + b^n = (a + b){a^(n-1) + b^(n-1)} - ab { a^(n-2) + b^(n-2)}
= 2 {a^(n-1) + b^(n-1)} +6 { a^(n-2) + b^(n-2)}
であるから、もし{ a^(n-2) + b^(n-2)}が4の倍数 かつ {a^(n-1) + b^(n-1)} が4の倍数である
なら、a^n + b^n も4の倍数となる。ここに、a^2 + b^2 = 16 , a^3 + b^3 = 44 はともに
4の倍数であるから、帰納的に、すべてのn(≧2)に対しa^n + b^n は4の倍数。よって、示された。
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107 名前:元塾講師:2005/09/04 12:35
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いわゆる対称式変換の問題です。すべての対称式は基本対称式で構成されることは教わっ
ていることでしょう。複雑な対称式でも、この基本対象式をもとに(基本対象式を1つの
まとまりとして置き換えて、)式をより見やすく整理することが出来るのです。
但し、置き換えにより、変数の条件が変わることには注意しましょう。
(a,b) ↔ (u,v) の対応をよく考えて(u,v)の条件をすべて考えておくことが大切で
す。初心者には単に(a,b) → (u,v)の変換式の一方向的な対応関係のみで、満足する
人がいるが、最終的には(a,b)が実数として決まらなくてはいけないので、(a,b)に関
する必要十分な(最終的に(a,b)も与えるような)条件を(u,v)で表現することが大切で
す。勿論、このことは、今回の置き換えに限ることではありません。
そもそも置き換えとは、同じ量をパラメータを変えて表現しなおすことであるが、パラメ
ータの設定とは新しい尺度で出発するということです。旧来の(a,b)の世界と新しい
(u,v)の世界をつなぐ変換式が、(☆)であすが、そもそもパラメータの出発点が違う
以上、2つの異なる世界の必要十分な対応関係を考える必要があります。尺度が変わる
と、おのずと基準がかわることを常に覚えておいてください。青チャートでは、
「置き換えの時は遺言を残せ」という形で、変域が変わることに注意を促していたと
思いますが、この実の意味は置き換えすることによる2つの世界の必要十分な対応関係
を忘れないようにして、旧来の世界の条件をくまなく新世界の条件に移しましょうと
いうことなのです。
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108 名前:元塾講師:2005/09/04 12:36
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解説その2:
(1)u = -1±3√5は?をみたさないことについて、√5の概数を覚えてない人は次のように、
同値変形(必要十分な言い換え)により、判断可能な簡単なとこまで持っていってもよいで
しょう。
即ち、-1+3√5>4√2 ⇔3√5>4√2 + 1 ⇔ 45 >(4√2 + 1) ^2⇔45>33 + 8√2
⇔12>8√2 ⇔3>2√2 ⇔9>8 が成立するし、
また-1- 3√5<-2 - (-1+3√5)<-2 - 4√2<- 4√2より、 u = -1±3√5は?をみたさない
としてもよいでしょう。
(2)数列{a^n + b^n}について、漸化式(3項間)がすぐ立式できるので、その一般項に関して
の証明は、この「帰納的定義を用いて帰納法」というのがやりやすいでしょう。
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109 名前:元塾講師:2005/09/04 12:38
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問題19:
定数pに対して3次方程式x^3 - 3x - p = 0 の実数解の中で、最大のものと最小のものと
の積をf (p)とする。ただし実数解がただひとつのときには、その2乗をf (p) とする。
pがすべての実数を動くとき、f (p)の最小値を求めよ。 (1991 東大 )
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110 名前:元塾講師:2005/09/04 12:39
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解答:
x^3 - 3x - p = 0…?の実数解はy = x^3 - 3xのグラフy = pとのグラフの交点の座標であり、
図(略)より‐2<p<2のときこれは3実数解を持ち、p =±2のとき唯1つ実数解を持ち、
│p│>2のとき2実数解を持つ。
‐2<p<2のときこの3実数解を小さいほうからαβγとおくと、β≠0(⇔p≠0)のとき
f (p) = αγ= p/β=β^2 - 3 〔∵解と係数の関係より、αβγ = p , またp =β^3 -3β〕
また、β= 0(⇔p = 0) のとき?の3解はx = ±√3, 0 であるからf (0) = - 3 。
よってp = 0のときも含めて、
‐2<p<2のときf (p) =β^2 - 3 ≧ - 3 (等号はβ= 0⇔p = 0のとき成立する。)
なお、p =±2のときはf (p) = -2
│p│>2のときf (p)は│x│>2の範囲で唯1つの実数解を持つのでf (p) >4
となるので、f (p)はp = 0のとき最小値- 3をとる。 … (答)
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111 名前:元塾講師:2005/09/04 12:40
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解説:
f (p)の動きを考えるにあたって、pの関数として表現することにこだわる必要は実はない。
何らかの置き換えにより、よりシンプルな表現が出来るのなら、その新しいパラメータを
導入して表現する方が扱いがよくなる。βという pの関数1まとまりをを基礎とすれば、
fという量はβを用いて簡単に表現できる。但し、pと新パラメータβとの間の対応関係
から変域についても十分議論すること。
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112 名前:匿名さん:2005/09/05 08:18
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納得。
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113 名前:元塾講師:2005/09/05 14:55
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式処理についてもテーマは様々あります。少しづつ中心テーマを変えていきますが、
以前の問題との共通テーマ、及び新しく学ぶべきテーマを解答から学んでいきましょう。
各問の関連性を思考することが、最後に統一した数学的思考に集約させる為に大切です。
問20:
k >0 とする。 xy平面上の二曲線 y = k ( x - x^3) , x = k ( y - y^3) が第1象限に
α≠βなる交点 (α, β) をもつようなkの範囲を求めよ。
(1989 東大)
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114 名前:元塾講師:2005/09/05 14:57
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解答その1(本解): f (x)= k ( x - x^3)とおく。
y = f (x)のグラフ…?はy = x - x^3 のグラフをy軸方向へk倍拡大したグラフであり、
x = 1/√3 の位置で極大となる。また、x = k ( y - y^3)のグラフは?を直線y = x に関して折
り返したものである。この2曲線が第1象限内にy ≠ x なる交点を持つ条件を図で考える。
まず、?がy = xより下にあるとき(f '(0)<1⇔k <1のとき)や、?とy = x が、極大の前の
位置で交点を持つ場合は図(略)より不適。よって求める条件は
『?とy = x の交点(√(1 - 1/k) , √(1 - 1/k))がx>1/√3 の範囲にありかつ、
?の1/√3 <x<√(1 - 1/k) の部分を折り返したものが、曲線?の右側に来ること。』
これは?のx = √(1 - 1/k) における曲線の方向(微分係数)が、-1 より小さいこと(-1より
傾きが急なこと)が必要十分条件であり、1/√3<√(1 - 1/k) かつf '(√(1 - 1/k))<-1。
ここでf '(x) = k ( 1- 3x^2 )であるからこれを整理して、 k >2 …(答)
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115 名前:元塾講師:2005/09/05 15:01
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本解の解説:
2曲線の図形的性質(逆関数同士⇔直線y = xに関し対称)を考えるなら、問題または問題
の持つ意味を、まず図を書いて図形的に考えるべきでしょう。いろいろ図を書いて実験して
みれば、上記のことに気づく思われます。
大切なのは?とy = x の交点(√(1 - 1/k) , √(1 - 1/k))を持ち、交点付近での
曲線?の方向が(即ち接線の傾き)、-1より急な勾配を持つことである。したがって
条件はf '(√(1 - 1/k)) <-1 だけでいいのですが、それだけでいいことを説明し
にくかったので上記のように余計な説明も加えてみました。うまく論じれば、
『交点(√(1 - 1/k) , √(1 - 1/k))がx>1/√3 の範囲にあることが必要で…』
というところは省いても結構でしょう。
さて、図を書いても、頭の働きがさえなかった(人間なので体調によっても左右される)
場合は、式処理を試みることになります。
この場合は、対称性を考えた式の扱いを考えていきましょう。また、式変形では同値性
に常に注意して、必要にすぎない議論にならないように心掛けることが大切です。
(特に何度も式をいじるときは、もともとの式との関係、即ち必要性のみならず
十分性があるか、を常に確認する姿勢が大切です。もっとも、必要で条件を絞り込んで、
十分で確認(ふるいに落とす)という感じの答案構成でも結構ですが。)
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116 名前:元塾講師:2005/09/05 15:05
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別解その1:
二曲線 y = k ( x - x^3) , x = k ( y - y^3) が第1象限に
α≠βなる交点 (α, β) をもつとき、β= k (α -α^3) ?, α= k (β-β^3) ?
?+? より、 α+β= k {(α+β) - (α+β)(α^2-αβ+β^2)}
∴α^2 -αβ+β^2 = 1 - 1/k ? 〔∵α+β>0〕
?-? より、 -(α-β)= k {(α-β) - (α-β)(α^2 +αβ+β^2)}
∴α^2 +αβ+β^2 = 1 + 1/k ? 〔∵α-β≠0〕
?、?よりαβ= 1/k , α^2 +β^2 = 1 よってα+β= √(α+β)2 = √(1 + 2/k) よって
α,βはtの2次方程式t^2 - √(1 + 2/k) t + 1/k = 0 (☆)の2解であるから、これが
異なる正の2実数をもつので、(判別式)= (1 + 2/k) - 4/k >0であり、
2解の和 = √(1 + 2/k) >0 かつ2解の積 = 1/k>0 ∴k >2
逆にこのとき、(☆)の異なる2実数解として定まるα,βはα≠β, α>0 ,β>0であり、
これはαβ= 1/k , α^2 +β^2 = 1をみたすので、?、?をみたし、従って?, ?を
みたすので、題意の条件に適する。 (答)k >2
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117 名前:元塾講師:2005/09/05 15:07
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別解1の解説:
?、?からα,βの条件を整理していく(α,βを求めていく)ときに、この2式を足したり引いた
りしたほうが、対称性がある式になるので、このようにしてバランスをとって整理していくこと
が大切です。とくに、同じような式が出たときは差をとるというのは、数学ではよくやる式整理
の仕方であることに注意したい。(例えば、2項間漸化式An = p An-1 +qを整理するのに
t = pt+q なるtを出してきて、辺辺引いてAn - t = p (An-1 - t) として定数項を消去、整理
するのも同じである )
尚、最後の十分性の確認の部分である「?、?をみたし、従って?, ?をみたすので」という
部分について、?かつ? ⇔ ?+? かつ ?-? に注意しておいて下さい。
あと、2次方程式が2つの正の解を持つ条件(α,βが異なる正の2実数解として定まる条件)は
解の配置問題として判別式の条件、軸の条件、f(0)の条件から出しても構いません。
もっとも軸の条件は、(α+β)/2 >0 で、f(0)の条件はf(0) =αβ>0 なので上と全く
同じになります。これはα,βを2解とする2次方程式が
(t - α)(t - β) = 0 ⇔t^2 -(α+β) t +αβ= 0なので当然です。
ついでに、判別式が2解α,βを使って(α-β)^2であることも常識にしておきましょう。
例えば問18(1)では、a , b が実数 ⇔ u^2-4v≧0 と一瞬で頭に浮かぶようになって
欲しいところです。
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118 名前:元塾講師:2005/09/05 15:09
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別解その2: 〔?、?まで別解1と同じ。?、?の扱い方の別法として〕
?,?よりkを消去すると、β^2-β^4 =α^2-α^4 ⇔α^2-β^2 = (α^2-β^2)(α^2+β^2)
∴α^2 +β^2 = 1 〔∵α≠β, α>0 ,β>0より、α^2-β^2≠0〕
このときα= cosθ, β= sinθ 〔0<θ<π/2 , θ≠π/4 (※)〕と書けるので、これを?又は
?に代入して、k = sinθ/(cosθ- (cosθ)^3) = 1/sinθcosθ = 2/sin2θ ?
〔∵1- (cosθ)^2 = (sinθ) ^2 , sinθcosθ= 1/2 ・sin2θ 〕
(※)のとき、0<sin2θ<1であるからk >2 が必要。
逆にk >2 をみたすk を考えると、?をみたすθが(※)の範囲で唯2つとれ、このとき
α= cosθ, β= sinθ は?かつ?をみたし、またα≠β, α>0 ,β>0となるので題意に適する。
よって求める条件(必要十分条件)はk >2 。 (答)
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119 名前:元塾講師:2005/09/05 15:10
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別解2の解説:
?、?より式を整理していく時にkを消去して、α,βのみの条件を出しているのも面白い。
このとき、円の方程式が出るから、解答のように置き換えて、さらに??の整理を進める。
θが(※)の範囲で唯2つとれるという、その場合2交点とは勿論交点(cosθ, sinθ) と
交点(sinθ, cosθ)です。y = x に関して対称な2点なのは当然でしょう。
一般に「条件」という言葉を使う場合、数学では必要十分条件のことを指すのは言うまで
もありません。条件を求めていく問題では、きちっと「同値変形(言い換え)」をするか、
「必要で攻めて、最後に十分で確認するか」数学の答案作りではこのいずれかの態度を
示すことが大切です。
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120 名前:元塾講師:2005/09/08 10:34
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問21:
An = Σ〔k=1~n〕 1/√k , Bn =Σ〔k=1~n〕 1/√(2k + 1) とするとき、
lim (n→∞) An , lim (n→∞) Bn / An を求めよ。 (1990 東大)
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121 名前:元塾講師:2005/09/08 12:27
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解答:
y = 1/√x のグラフをもとに式の量を図化して考えると(図は略)、
Σ〔k=1~n〕 1/√k は図の斜線部の面積(縦1/√k 横1の長方形 n 個)を表すから、
An = Σ〔k=1~n〕 1/√k > ∫{1~n}1/√x dx = 2√n - 2
ここでn→∞のとき、左辺→∞なのであるから、右辺→∞ ∴lim (n→∞) An = ∞ (答)
1/√2k > 1/√(2k + 1) > 1/√(2k + 2) より各辺でkを1~nまで変えて加えて、
次の評価式を得る。即ち、1/√2 An >Bn >1/√2 An - 1/√2 + 1/√(2n + 2)
∴1/√2 > Bn / An >1/√2- 1/ An√2 + 1/ An√(2n + 2)
ここでn→∞のとき、右辺→1/√2、左辺→1/√2なのであるから、挟みうちの原理より、
中辺→1/√2 ∴lim (n→∞) Bn / An = 1/√2 (答)
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122 名前:元塾講師:2005/09/08 12:33
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解説:
1 + 1/2 + 1/3 + 1/4… =lim (n→∞)Σ〔k=1~n〕 1/k = ∞ であることは有名で、知識とし
て知っているべきである。
〔証明の1つは、上と同じように∫{1~∞}1/x dx (= ∞) より大きいことから得られる。〕
だとすると、更に大きいAn = Σ〔k=1~n〕 1/√k がn→∞のとき発散するのは明らか。
Σとか∫が入った式は、図形的には面積量として捉えることができ、面積比較から、よりシンプルな
式で大まかに評価していくのはよくやることである。Anを直接求めることは出来なくてもこのよう
に大まかな評価ができれば極限は求まるというのが本問の趣旨である。
もっとも、Σとか∫が入った式に限らず、式の図形的な意味を考えた上で、図だけで解決できる問題
も多い。特にΣとか∫が入った式は面積と結びつく為、いつも片隅に置いておきたい考えである。
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123 名前:元塾講師:2005/09/08 12:35
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例えば、簡単な例であるが、∫{0~1}√(1-x^2) dxを求めるのに計算だけでやろうと思うと
置換して被積分を簡単なものにしていかなくてはいけないが、これが原点中心の半径1の円
の第1象限の部分の面積を表すことが分かれば、π/4とすぐ求まるわけである。
もっと普遍化して言えば、抽象的な情報を視覚化、具体化して捉えるという数学の大テーマ
の範疇になる。代数幾何分野に限ったことでもないのである。
後半のBn / Anを考えるにあたり、やはりAn ,Bn を直接求めることが出来ない以上何らか
の評価をすることになるが、Bn がAnに関連付けて評価できるのは気がついて欲しい。
分母の√2を無視すればBn はAnに極めて似通った式なのだから。
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124 名前:元塾講師:2005/09/08 12:36
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別解:
An = Σ〔k=1~n〕 1/√k = 1/√n ・Σ〔k=1~n〕 1/√(k/n)
= √n ・1/nΣ〔k=1~n〕 1/√(k/n)
ここでlim (n→∞) 1/nΣ〔k=1~n〕 1/√(k/n) = ∫{0~1}1/√x dx = 2 ,
lim (n→∞) √n = ∞であるからlim (n→∞) An = ∞ (答)
後半は本解と同じ
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125 名前:元塾講師:2005/09/08 12:36
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別解の解説:
lim (n→∞) An を考えるにあたって、
区分求積の公式:lim (n→∞) 1/nΣ〔k=1~n〕 f (k/n) = ∫{0~1}f (x) dxに結びつけてもよいでしょう。
Anの式から、この公式が使えるように無理やり変形してみることは難しくありません。
1/nΣ f (k/n) という形を無理に作り出せば、極限が分かります。
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126 名前:元塾講師:2005/09/09 13:08
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問22:
0≦t≦2の範囲にあるtに対し、方程式x^4 - 2x^2 - 1 + t= 0 の実数解のうち最大のものを
g1(t),最小のものをg2(t)とおく。∫{0~2} (g1(t) - g2(t)) dtを求めよ。
(1993 東大文系)
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127 名前:元塾講師:2005/09/09 13:10
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解答:
x^4- 2x^2 - 1 + t = 0 ⇔ - x^4+ 2x^2 + 1 = t の実数解xは
y = - x^4+ 2x^2 + 1のグラフ? , y = tのグラフの交点のx座標を示し、
g1(t) - g2(t) は、図の太線の長さを表す。
また、?と軸の交点は±αである。(α=√(1+√2) とおいた)
S =∫{0~2}(g1(t) - g2(t)) dt は図の斜線部の図形の面積を表すので(図略)、これは次のように表現してもよい。即ち、図形がy軸に関して対称であることにも注意して、
S = 2{2×1 + ∫{1~α}(- x^4+ 2x^2 + 1) dx } = 16/15 + 2(-α^5/5 + 2α^3/3 +α)
ここに、α^4 --= 2α^2 + 1 ,α^5 --= 2α^3 +α であるから
(-α^5/5 + 2α^3/3 +α) = 4/15α^3 + 4/5α = {4/15(1+√2) + 4/5}√(1+√2)
よってS = 8/15{2 + 4√(1+√2) + √(2+√2)} (答)
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128 名前:元塾講師:2005/09/09 13:11
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解説:
代数幾何以外の分野でも、『式は図形を表し、図形は式で表現されるという視点』で数式を
捉えることは大切である。即ち、式の量は、図形的にどんな意味をもつのか。図形の状態を
どのように式表現できるのかということを考えていくのが数学の大切な視点である。
そもそも唐突に『∫{0~2} (g1(t) - g2(t)) dtを求めよ。』といわれたら、この式
の被積分関数は何を表しているのか、積分区間が0からはいいとして2までの2とはどんな
意味か?0≦t≦2というtの範囲と関係あるのだろか…などと自然に考えたくなるのが大切
であり、積分量は面積を示唆するので図形的考えてみようという発想に自然になって欲しい。
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129 名前:元塾講師:2005/09/09 13:14
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別解:
x^4- 2x^2 - 1 + t = 0よりx^2 = 1±√(2 - t) これは
1- √(2 - t)<0 のときは2実数解を持つにすぎないし、1- √(2 - t) = 0 のときはx = 0と他の2実数解を持つし、1- √(2 - t)>0のときは4実数解を持つが、いづれの場合でも最大のものと、最小のものは ±√{1+√(2 - t)}でありこれがg1(t) , g2(t)である。
よってS =∫{0~2}(g1(t) - g2(t)) dt = 2∫{0~2}√{1+√(2 - t)}dt
u = 1 + √(2 - t) とおくと被積分関数= u^1/2 であり、t = 2 - (u -1)^2よりdt/du = -2u +2
∴dt = (-2u + 2)・du またt : 0→2のときu : 1+√2→1と単調に変化するので
S =2∫{1+√2~1}u^1/2 (-2u + 2)・du = 4∫{1~1+√2} (u^3/2 - u^1/2)du
= 8/15{2 + 4√(1+√2) + √(2+√2)} (答)
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130 名前:元塾講師:2005/09/09 13:15
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解説:
地道に計算しても大したことは無いし、これぐらいの計算が出来ないようでは困る。
とくに最近の東大では置換しながら、積分計算をやり遂げさせるという単純計算問題
がよく出されているようである。
計算上のコツは置換(置き換え)しながら、被積分関数を整理(見やすく)していく
ことに尽きる。但し、置き換えによって、もともとのパラメータとの間で定義域等が
変化するので、同じ量をすべて新パラメーターでの評価に書きかえることに注意する
点は、一般的な置き換えのときと同じなのは当然である。被積分関数が積の形になっ
たときは部分積分の公式なども使って計算すること。
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131 名前:元塾講師:2005/09/10 10:40
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しかし最近、別解の提示どころか質問、疑問も全く無いけど・・・
このスレ死んでるのかな。
受験数学はより美しい解答を求める格闘技であるはずなのに。
また、素晴らしい題材をもとに、より美しく解こうと研究する中で、
計算力、論理力が磨かれるのに。
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132 名前:通りすがのり受験生:2005/09/10 15:26
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なんか8割ぐらいは一度は解いた問題ですねけど
別解がのってるのが非常に嬉しいです。
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133 名前:匿名さん:2005/09/11 02:52
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おお!素晴らしい良スレ発見!
過去ログ全て読みつつ定期的にお邪魔します。
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134 名前:元塾講師:2005/09/11 12:40
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問23:
(1)0≦α<β≦π/2 であるとき、次の不等式を示せ。
∫{α~β}sinx dx + ∫{(π-β) ~(π-α)}sinx dx > (β-α)(sinα+ sin(π-β))
(2)Σ{k=1~7}sinkπ/8<16/π
(1997 京大)
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135 名前:元塾講師:2005/09/11 12:43
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解答:
(1)y =sinx 〔0≦x≦π/2〕のグラフを用いて図化して考える。
まず、図(略)より∫{α~β}sinx dx = ∫{(π-β) ~(π-α)}sinx dx …?。
(両辺はお互いがx=/2 に関して線対称な図形の面積を表す。)
また、1/2(β-α)(sinα+ sin(π-β))は、高さβ-αの台形の面積を表し、
これと∫{α~β}sinx dxで表される図形の面積を比較すると、y =sinx 〔0≦x≦π/2〕
のグラフが上に凸であることに注意すれば
∫{α~β}sinx dx > 1/2(β-α)(sinα+ sin(π-β)) …?
両辺を2倍してを?用いれば、問題の不等式の成立が示された。
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136 名前:匿名さん:2005/09/11 12:44
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(2)
?で、α=0 , β= π/8とすると π/16(sin0 + sin7π/8)<∫{0~π/8}sinx dx
α=π/8 , β= 2π/8とすると π/16(sinπ/8 + sin6π/8)<∫{π/8~2π/8}sinx dx
α=2π/8 , β= 3π/8とすると π/16(sin2π/8 + sin5π/8)<∫{2π/8~3π/8}sinx dx
α=3π/8 , β= 4π/8とすると π/16(sin3π/8 + sin4π/8)<∫{3π/8~4π/8}sinx dx
以上の4式の辺々を加えてsin0 = 0に注意すれば、
π/16Σ{k=1~7}sinkπ/8<∫{0~π/2}sinx dx = 1 ∴Σ{k=1~7}sinkπ/8<16/π
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137 名前:匿名さん:2005/09/11 12:45
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解説:
(1)式の意味を考えて解こうという発想を持っていれば、y =sinxのグラフをもとに考えるだけ
なので、誰でもとける。このような考えを頭に入れているかだけの問題である。
(2)(1)がヒントなのは明らかだろうから、あとはα, βにどんな具体的な値を入れていくかだけ
になるが、(β-α)(sinα+ sin(π-β)) から、Σ{k=1~7}sinkπという式の評価を出そう
としたときに、(β-α)という係数を一定にする必要があることを考慮して考えましょう。